
ネルソン:ニュージーランドの麗しきワイン産地
ニュージーランド南島の北西に位置するネルソンは、公式に認められたぶどう酒の産地です。比較的小さな産地ではありますが、個性豊かな風味を持つぶどう酒を生み出す場所として知られています。二〇二〇年時点でその栽培面積は約一一〇二ヘクタール。数多くの小さなぶどう酒製造所が点在し、それぞれが独自の製法で丹精込めてぶどう酒を造っています。ネルソンは三方を山々に囲まれ、タスマン湾からの潮風が吹き抜ける独特の気候です。西からの低気圧の影響で年間の雨量は約一〇〇〇ミリメートルと比較的多く、緑豊かな自然が広がっています。この恵まれた環境は、ぶどう栽培に最適な条件をいくつも備えています。まず、冷涼な気候でありながら日照時間が長く、ぶどうの生育に適しています。さらに、水はけの良い土壌は、ぶどうの根が健やかに育つための重要な要素です。そして、栄養分が比較的少ない土壌は、ぶどうの味わいを凝縮させる効果があります。このような自然の恩恵を受けて、ネルソンでは様々な種類のぶどうが栽培されています。白ぶどう酒用としては、爽やかな酸味と柑橘系の香りが特徴のソーヴィニヨン・ブランや、桃やアプリコットを思わせるふくよかな香りのピノ・グリ、そしてマスカットやゲヴュルツトラミネールといった華やかな香りのぶどうが栽培されています。赤ぶどう酒用としては、繊細な果実味とエレガントな酸味が魅力のピノ・ノワールが中心的に栽培されています。これらのぶどうから造られるネルソンのぶどう酒は、高品質で個性豊かな味わいを持ち、世界中の愛好家を魅了し続けています。