食用ブドウ

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ブドウの品種

日本ワインの父、マスカット・ベーリーA

日本のぶどう酒作りにおいて、マスカット・ベーリーAはなくてはならない品種です。その誕生は、情熱あふれる栽培家、川上善兵衛のたゆまぬ努力の賜物です。時は明治時代末期から大正時代へとうつろう頃、川上氏は幾種類ものぶどうを掛け合わせる実験に明け暮れていました。日本人の口に合う、理想のぶどうを作り出すためです。そしてついに昭和2年、ベーリーとマスカット・ハンブルグを掛け合わせた、新しいぶどうが生まれました。これが後にマスカット・ベーリーAと名付けられ、日本のぶどう酒作りを大きく変えることになるのです。当時の日本は、ぶどう酒用のぶどうを育てるのが難しい時代でした。気候や土壌などの影響で、ヨーロッパのぶどうはなかなか根付きませんでした。そこで川上氏は、日本の風土に合う丈夫なぶどう品種の開発に情熱を注ぎました。試行錯誤の末に生まれたマスカット・ベーリーAは、日本の風土への適応力が高く、栽培しやすいという大きな特徴を持っていました。このおかげで、それまで難しかったぶどう酒用のぶどう栽培が、各地で盛んになるきっかけとなったのです。マスカット・ベーリーAは、独特の甘い香りと、ほどよい酸味、渋みが調和した味わいが特徴です。濃い紅色の外観も美しく、現在では多くのぶどう酒に使われています。誕生からおよそ百年、川上氏の情熱と努力から生まれたこのぶどうは、今もなお日本のぶどう酒作りを支え続けているのです。