ブドウ畑 ブドウ畑を守る風:ケープドクター
南アフリカの西ケープ州で育つブドウにとって、「ケープドクター」と呼ばれる風は、なくてはならない存在です。春から夏にかけて、南東の方角から勢いよく吹き付けるこの風は、時に乾いた砂埃を巻き上げ、荒々しい様相を見せることもあります。一見すると、ブドウの生育に悪い影響を与えそうに思えるこの強風ですが、実はブドウ畑にとって、まるで医者の役割を果たしているのです。インド洋からやってくるこの風は冷たく乾燥しており、畑の温度を下げ、余分な湿気を吹き飛ばす働きがあります。ブドウにとって厄介なカビや細菌は、湿度の高い環境を好み繁殖します。ケープドクターは、この湿気を吹き飛ばすことで、カビや細菌の増殖を抑え、ブドウが病気にかかるのを防いでくれます。また、強い風は葉を揺らし、常に空気を動かすことで、畑全体を換気する役割も担っています。湿気がこもりがちな葉の裏側まで風が行き渡り、病気を防ぐだけでなく、葉に日光が当たる時間を増やし、光合成を促します。これは、ブドウの実の成熟を助けることにも繋がります。さらに、ケープドクターは害虫の発生も抑えると言われています。小さな虫たちは、この強風の中ではうまく活動することができません。風に飛ばされてしまうのを避けるため、畑に近寄らなくなるのです。こうして、農薬を使うことなく、自然の力で害虫からブドウを守ることができるのです。まさに自然の恵みと言えるでしょう。こうした様々な恩恵をもたらすケープドクターは、西ケープ州のブドウ栽培にとって、かけがえのない存在となっています。
