
甘美な芳香、ニュス・マルヴォワジー・フレトリ
西の方にある谷、イタリアの山のふもとにある小さな村、ニュス。ここで生まれるのが、とろりとした甘い蜜のような白ワイン、ニュス・マルヴォワジー・フレトリです。このお酒に使われるのは、灰色をした小さな実をつけるマルヴォワジーという名のぶどう。太陽の光をたっぷり浴びて育ったこのぶどうを、収穫の時期を遅らせて、さらに甘みを増したところで丁寧に摘み取ります。収穫したぶどうは、風通しの良い場所につるしたり、棚に並べてゆっくりと乾燥させます。まるで干し柿を作るように、じっくりと時間をかけて水分を飛ばすことで、ぶどうの甘みと香りはさらに凝縮されていきます。この、陰干しと呼ばれる作業こそが、ニュス・マルヴォワジー・フレトリの独特の風味を生み出す大切な秘訣なのです。十分に乾燥したぶどうは、優しく押しつぶされ、果汁が搾り出されます。黄金色の果汁は、小さな木の樽に移し替えられ、静かに眠りにつきます。そして、ひっそりと、ゆっくりと、長い時間をかけて発酵が始まります。樽の中で、まるで魔法のように、ぶどうの甘みと香りが複雑に絡み合い、奥深い味わいが生まれていきます。こうして出来上がったワインは、濃い黄金色に輝き、15度から16度という強いお酒でありながら、とろけるような甘さと芳醇な香りで、飲む人の心を捉えて離しません。まるで、太陽の光をそのまま瓶に詰めたような、このワインは、特別な日のデザートと共に味わうのがおすすめです。小さなグラスに注げば、たちまち華やかな香りが広がり、一口飲めば、至福のひとときが訪れることでしょう。