ワインの醸造 ワインの濾過:透明感の裏側
ぶどう酒造りにおいて、濾過とは、ぶどう酒を透き通った状態にするために行う作業です。ぶどう酒には、お酒の素となるものが変化する過程で生まれる小さな粒や、果実の細かい粒子が含まれています。これらは、ぶどう酒が濁って見える原因となります。濾過はこの濁りの元を取り除き、美しく澄んだぶどう酒に仕上げるための大切な工程です。ぶどう酒の濾過は、遠い昔から行われてきました。古代エジプトの遺跡からは、布などで濾過していたと思われる痕跡が見つかっています。昔の人は、今よりもずっと簡素な方法でぶどう酒を濾していたのでしょう。現代では、様々な素材や目の細かさの濾し器が開発され、ぶどう酒の種類や造り手の考え方に合わせて濾過の方法が選ばれています。濾過に使う道具も時代とともに大きく変化してきたと言えるでしょう。濾過の方法は大きく分けて、目の粗い濾過と、目の細かい濾過があります。目の粗い濾過は、比較的大きな粒子を取り除くもので、ぶどう酒本来の味わいを保つのに役立ちます。一方、目の細かい濾過は、より小さな粒子まで取り除くことができ、透き通った仕上がりになりますが、ぶどう酒の風味も一緒に取り除かれる可能性があるため、注意が必要です。濾過は必ずしも行わなければならない作業ではありません。濁りをあえて残すことで、ぶどう酒の風味や個性を際立たせる場合もあります。濾過しないぶどう酒は、濁りがあるため見た目は劣りますが、ぶどう本来の力強い味わいを楽しむことができます。近年では、あえて濾過しないぶどう酒を選ぶ人も増えてきています。これは、自然な味わいを求める人たちの間で人気が高まっているためです。濾過をするかしないかは、造り手の考え方や、目指すぶどう酒のスタイルによって大きく左右されます。濾過という工程一つにも、造り手のこだわりやぶどう酒への愛情が込められているのです。
