日本のブドウ

記事数:(3)

ブドウの品種

国産ぶどう、マスカット・ベーリーAの魅力

「マスカット・ベーリーA」という名前を聞くと、外国のぶどうを思い浮かべる方も少なくないでしょう。しかし、実はこのぶどうは日本で生まれた品種なのです。その誕生は1927年、新潟県の岩の原葡萄園。ぶどう栽培の先駆者、川上善兵衛氏の手によって生み出されました。「マスカット・ベーリーA」は、「ベーリー」と「マスカット・ハンブルグ」という二つの品種を掛け合わせて作られました。「ベーリー」はアメリカのラブルスカ種とヨーロッパ種の交配種であり、耐病性に優れています。一方の「マスカット・ハンブルグ」はヨーロッパ系で、香りが高く大粒なのが特徴です。善兵衛氏は、両者の長所を併せ持つ、日本の風土に合う新しい品種を作り出そうと試行錯誤を重ねました。そしてついに、日本の気候に適応し、病気にも強い、素晴らしい香りを放つ「マスカット・ベーリーA」が誕生したのです。ところで、「A」という文字には、どのような意味が込められているのでしょうか。実は、同じ親から生まれた兄弟品種に「マスカット・ベーリーB」が存在しました。「B」は栽培が難しく、やがて姿を消してしまいました。生き残った「A」は、今では日本を代表する赤ぶどう品種の一つとして、広く知られるようになりました。その奥深い香りと味わいは、多くの愛好家を魅了しています。「マスカット・ベーリーA」という名前には、日本の風土への深い理解と、先人たちのたゆまぬ努力が凝縮されていると言えるでしょう。
ブドウの品種

和の黒ブドウ、ヤマソービニヨン

日本の風土に根ざした黒ブドウ品種、ヤマソービニヨン。その誕生は、ひとりの研究者の情熱とたゆまぬ努力の結晶です。山梨大学でブドウの研究に携わっていた山川祥秀氏が、日本のワイン造りの未来を願い、長年の歳月をかけて生み出しました。1990年、山川氏は日本の山々に自生する野生種のブドウ、ヤマブドウに着目しました。ヤマブドウは、日本の気候風土に適応した力強い生命力を持つ一方、その強い個性ゆえに、ワイン醸造には適さない側面もありました。そこで山川氏は、世界中で愛される高貴な品種、カベルネ・ソーヴィニヨンと交配させることで、ヤマブドウの潜在能力を引き出そうと考えたのです。交配は容易ではありませんでした。異なる品種を掛け合わせる作業は、繊細な技術と深い知識を要します。幾度もの試行錯誤、そして気の遠くなるような選抜作業を経て、ついにヤマソービニヨンは誕生しました。ヤマブドウの力強さとカベルネ・ソーヴィニヨンの気品、両方の長所を受け継いだ、まさに夢のような品種でした。こうして生まれたヤマソービニヨンは、日本のワイン界に新たな可能性をもたらしました。日本の風土で育まれたこのブドウは、高温多湿な日本の気候にも耐えうる強さを持ち、病虫害にも比較的強いという特徴を持っています。また、その果実からは、日本の自然を思わせる繊細で複雑な風味を持つワインが生まれます。山川氏の熱意と努力が、日本のワインの歴史に新たな1ページを刻んだと言えるでしょう。ヤマソービニヨンは、まさに日本のワイン造りの未来を担う、希望の光です。
ブドウの品種

日本のワイン、ベーリー・アリカントAの魅力

日本のぶどう酒作りがまだ始まったばかりの頃、熱意あふれる育種家の川上善兵衛氏によって、国産ぶどう酒の象徴とも言える品種、ベーリー・アリカントAが生まれました。時は大正から昭和に移り変わる1920年代。良いぶどう酒を造るには、日本の風土に合ったぶどう品種が必要だと考えた川上氏は、長年、様々な品種を掛け合わせる実験を続けました。試行錯誤の末に、アメリカのベーリーとフランスのアリカンテ・ブーシェを掛け合わせ、ついにベーリー・アリカントAを作り出したのです。この新しい品種は、川上氏の惜しみない努力と日本の風土への深い理解から生まれた、まさに結晶と言えるでしょう。当時はまだ、栽培技術も醸造技術も未十分で、試行錯誤の日々が続きました。しかし、川上氏は決して諦めず、情熱を注ぎ続けました。その結果、ベーリー・アリカントAは日本の風土に根付き、次第にその素晴らしさが認められていくことになります。やがて、各地のぶどう畑で栽培されるようになり、今では日本を代表する黒ぶどう品種の一つとして広く知られています。誕生からおよそ100年。ベーリー・アリカントAは、日本のぶどう酒の歴史と共に歩み続け、今もなお多くのぶどう酒好きを魅了しています。力強い味わいと豊かな香りは、和食との相性も抜群です。その奥深い味わいは、まさに日本の風土と歴史が生み出した奇跡と言えるでしょう。これからも、ベーリー・アリカントAは、日本のぶどう酒文化を彩り、人々を魅了し続けていくことでしょう。