ヴァン・ド・コンスタンス

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ワインの種類

甘美なるワイン、ヴァン・ド・コンスタンス

南アフリカという大地で、初めて葡萄酒が醸造されたのは、西暦1659年のことでした。それから30年近くの時が流れ、1685年。オランダ東インド会社によって派遣され、ケープ植民地の総督を務めていたサイモン・ファン・デル・ステル氏は、この地で高品質な葡萄酒を造るという大きな夢を抱いていました。氏は、良質な葡萄酒を生み出すためには、最適な土壌と気候を持つ土地を見つけなければならないと考え、部下たちにあらゆる場所を調査するように命じました。太陽の光をたっぷりと浴び、温暖な気候に恵まれた大地。冷涼な風も吹き抜ける、ブドウ栽培に理想的な環境。そんな場所を探し求めた結果、ついに氏が見つけ出したのは、フォルス湾に面した緑豊かな渓谷でした。その土地こそが、後に世界に名を轟かせることになる、甘美な葡萄酒の故郷となる場所だったのです。氏は、この特別な場所に『コンスタンシア』と名付け、自ら厳選したブドウの苗木を植えました。この時、まだ誰も予想だにしていなかったでしょう。この小さな苗木から生まれる葡萄酒が、やがて世界中で愛される銘酒『ヴァン・ド・コンスタンス』となり、歴史に名を刻むことになるなどとは。後に、時の皇帝ナポレオンをはじめ、世界中の王侯貴族たちがこの甘美な葡萄酒に魅了され、こぞって買い求めたという逸話も残されています。こうして、南アフリカという大地で、世界を虜にする甘口葡萄酒の物語が幕を開けたのでした。サイモン・ファン・デル・ステル氏が夢見た、高品質な葡萄酒造りは、コンスタンシアという地で、見事に花開いたのです。