ワインの産地 州境を越えるワイン産地
アメリカのぶどう酒作りを語る上で、欠かせないのが「アメリカン・ヴィティカル・エリア(A.V.A.)」と呼ばれるぶどうの栽培地域です。これは、アメリカ政府が土壌、気候、標高、地理、歴史といった様々な要素を基に定めたもので、ぶどう酒の個性や品質をはっきりとさせる大切な役割を担っています。このA.V.A.の中には、一つの州の中だけで完結するものだけでなく、複数の州にまたがるものもあるのです。これを「マルチステートA.V.A.」と呼び、州の境を越えたぶどう酒作りの協力体制や、広大な土地が生み出す多様なぶどう酒の魅力を象徴しています。例えば、有名なマルチステートA.V.A.の一つに、中央山脈とロッキー山脈に挟まれたコロンビア・ヴァレーがあります。ここはワシントン州とオレゴン州にまたがる広大な地域で、冷涼な気候と多様な土壌が、世界的に評価の高いぶどうを生み出しています。特に、リースリングやピノ・ノワールといった品種は、この土地の気候風土によく合い、繊細ながらも力強い味わいを持ちます。また、同じくワシントン州とアイダホ州にまたがるスネーク・リヴァー・ヴァレーも、マルチステートA.V.A.の一つです。ここはコロンビア・ヴァレーよりも乾燥した気候で、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった、濃い味わいの赤ぶどう酒用品種が栽培されています。このように、複数の州にまたがるぶどう栽培地域では、それぞれの土地の個性を持ちながらも、どこか共通の味わいを持つぶどう酒が生まれます。異なる州のぶどう栽培者たちが協力し、互いの知識や技術を共有することで、高品質なぶどう酒作りを目指しているのです。マルチステートA.V.A.指定のぶどう酒を探求することで、州境を越えたぶどう作りへの情熱と、アメリカのぶどう酒作りの奥深さをより一層感じることができるでしょう。
