マラグジア

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ブドウの品種

復活の白ブドウ、マラグジアの魅力

遠い昔、ギリシャの大地で広く愛されていた白ブドウがありました。その名はマラグジア。甘美な香りを放ち、人々を魅了してきたブドウです。しかし、栄華を誇った時代は長くは続きませんでした。19世紀後半、ヨーロッパを襲ったフィロキセラ禍。この壊滅的なブドウの病気は、ギリシャのブドウ畑にも容赦なく襲いかかり、多くのブドウが枯れてしまいました。マラグジアもその例外ではなく、徐々にその姿を消していきました。追い打ちをかけるように20世紀には世界大戦が勃発。混乱の時代の中で、マラグジアは人々の記憶から忘れ去られ、ついには絶滅したと考えられるまでになりました。それから数十年が過ぎた1970年代。大学の研究者たちが、ギリシャのブドウ品種に関する調査を開始しました。歴史の闇に埋もれたマラグジアの存在を掘り起こそうという地道な作業です。古い文献を読み解き、ギリシャ各地を巡り、わずかな手がかりを頼りに彼らは探し続けました。そしてついに、人里離れた場所で、ひっそりと生き残っていたマラグジアの古木を発見したのです。それはまさに奇跡の再会でした。発見されたマラグジアは、すぐに大学へと運ばれ、大切に育てられました。研究者たちのたゆまぬ努力によって、少しずつ苗木が増えていき、再びギリシャの地に息吹を吹き返しました。かつてのように広く栽培されるまでには長い時間がかかりましたが、マラグジアは高品質なワインを生み出すブドウとして、再び脚光を浴びるようになりました。今では、歴史の波に翻弄されながらも力強く蘇った、ギリシャワインのシンボル的存在となっています。忘れ去られていたブドウの復活劇は、まさにワイン界の奇跡と言えるでしょう。