ブラインドテイスティング

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テイスティング

ブラインドテイスティングの世界

覆い隠された情報の中で行う、それが目隠し試飲です。銘柄や産地、値段といった情報は一切与えられず、ただグラスに注がれた液体と向き合う時間。それはまるで、深い霧の中に足を踏み入れるような、不思議な体験です。まず目に飛び込んでくるのは、その色合いです。淡い黄金色、燃えるようなルビー色、深い紫色…。その色合いから、私たちはぶどうの種類や熟成の度合いを推測します。次にグラスを傾け、香りを確かめます。立ち上る香りは、果実の熟した甘さ、花の華やかさ、土の力強さなど、様々な表情を見せてくれます。香りはワインの個性を語る、大切な手がかりです。深く吸い込み、記憶の引き出しを開け、その香りに結びつく情景や記憶を辿ります。そしていよいよ、口に含みます。舌の上で広がる味わいは、甘み、酸味、渋み、苦みなど、複雑に絡み合い、奥深いハーモニーを奏でます。舌触りや余韻の長さも、重要な判断材料です。ワインが喉を通った後も、その味わいは残り続け、私たちの五感を刺激し続けます。目隠し試飲の最大の魅力は、先入観なしにワインを評価できることです。高価なワインだから美味しい、有名な産地だから素晴らしい、といった思い込みは一切排除され、純粋に、目の前にあるワインそのものと向き合うことができます。まるで一枚ずつベールを剥がすように、五感を研ぎ澄ませ、隠された情報を解き明かしていく作業は、まさに知的探求と言えるでしょう。そして、その探求の果てに、思いがけない発見や感動が待っているのです。
ワインに関する団体

ワイン界に衝撃!パリスの審判

千九百七十六年、花の都パリで、葡萄酒業界を根底から揺るがす出来事が起きました。それは、フランス葡萄酒とカリフォルニア葡萄酒の目隠し試飲会、のちに『パリの審判』と呼ばれる一大事件です。主催者は英国人のスティーブン・スパリュア氏という葡萄酒販売店の店主でした。氏はカリフォルニア葡萄酒の品質が向上していることを確信しており、フランスの専門家たちにその実力を見せつけたいと考えていました。しかし、この試飲会が世界を驚かせる旋風を巻き起こすとは、氏も予想だにしていませんでした。当時、葡萄酒の世界ではフランスが絶対的な王者として君臨していました。誰もがフランス葡萄酒の優位性を疑うことなく、カリフォルニア葡萄酒は二流品と見なされていたのです。そんな中、スパリュア氏はフランスの一流の給仕長や葡萄酒評論家などを審査員に招き、厳正な目隠し試飲会を実施しました。赤葡萄酒と白葡萄酒の両部門で、フランスの名高い葡萄酒とカリフォルニア葡萄酒を競わせたのです。結果は驚くべきものでした。赤葡萄酒部門では、カリフォルニアのスタッグス・リープ・ワイン・セラーズという醸造所のカベルネ・ソーヴィニヨンが、シャトー・ムートン・ロートシルトやシャトー・オー・ブリオンといったフランスの最高級葡萄酒を抑えて一位を獲得しました。白葡萄酒部門でも、同じくカリフォルニアのシャトー・モンテレーナが、ブルゴーニュ地方の最高級白葡萄酒を差し置いて一位に輝いたのです。この結果は、当時の葡萄酒業界に大きな衝撃を与えました。フランス葡萄酒至上主義が覆された瞬間であり、カリフォルニア葡萄酒、ひいては新世界葡萄酒の台頭を世に知らしめる歴史的な転換点となったのです。フランスの専門家たちは、自国の葡萄酒が敗北したという事実を受け入れることができず、混乱に陥りました。この事件は、葡萄酒の世界地図を塗り替える、まさに革命的な出来事だったと言えるでしょう。