バッカス

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ブドウの品種

忘れられたブドウ?ワイン品種「バッカス」の魅力

ぶどう酒の原料となる果実のうち、「バッカス」という品種についてお話しましょう。この品種は、ドイツで20世紀半ば過ぎに誕生した比較的歴史の浅い品種です。その出自は、ドイツを代表する高貴な品種である「ジルヴァーナ」と「リースリング」を掛け合わせ、さらに「ミュラー・トゥルガウ」という品種を交配するという複雑な過程を経て誕生しました。まさに、異なる個性を併せ持つ親品種たちの遺伝子を受け継いでいると言えるでしょう。こうして生まれたバッカスは、華やかな花の香りと、マスカットを思わせる果実の香りが特徴です。口に含むと、その香りが鼻腔を抜けていき、心地よい余韻を残します。1970年代には、人々の心を掴み、大きな人気を博しました。特に1990年代初頭には、栽培面積が最大となり、多くのぶどう酒愛好家を魅了しました。まるで満開の花畑を思わせる香りと、爽やかな果実の味わいは、まさに時代の寵児と言えるでしょう。しかし、時代の流れとともに、その人気は徐々に落ち着きを見せ始め、栽培面積も減少しました。2014年時点では、最盛期と比べると大きく減少しています。主な栽培地域は、ドイツのラインヘッセン地方とフランケン地方です。これらの地域では、今でもバッカスの栽培が続けられており、その土地の気候風土と相まって、個性豊かなぶどう酒を生み出しています。かつてほど脚光を浴びる機会は少なくなりましたが、バッカスは今でも独特の魅力を持つ品種として、一部の愛好家から根強い人気を誇っています。その華やかな香りと爽やかな味わいは、他の品種では味わえない特別な体験と言えるでしょう。静かに、しかし確実に、バッカスは歴史を刻み続けているのです。