ワインの種類 革新のワイン、スーパータスカン
イタリア半島の中西部に位置するトスカーナ地方は、古くから続くぶどう栽培とワイン醸造で世界的に知られています。太陽の恵みをいっぱいに浴びた丘陵地帯で、サンジョヴェーゼという黒ぶどうを主体とした、力強く複雑な味わいの赤ワインが伝統的に造られてきました。その深い味わいは、長年にわたり人々を魅了し続け、まさにこの土地の誇りと言えるでしょう。しかし、1900年代半ば、この伝統に挑むかのような革新的なワイン造りが始まりました。当時のトスカーナ地方には、ワインの等級を決める厳しい決まりがありました。その決まりでは、サンジョヴェーゼを主体としたワイン造りが定められており、カベルネ・ソーヴィニヨンなど、他の土地で広く栽培されているぶどう品種を使うことは認められていませんでした。ところが、一部の先進的な生産者たちは、この決まりに囚われず、世界的に評価の高いぶどう品種を取り入れることで、より高品質なワインを造ろうと考えたのです。これが、後に「最高のトスカーナワイン」を意味する「スーパータスカン」と呼ばれるワインの誕生につながりました。こうして生まれたワインは、当時の決まりでは、ごく普通のテーブルワインと同じ「I.G.T.」という低い等級に分類されてしまいました。しかし、その品質は極めて高く、ワイン愛好家や評論家たちの間で瞬く間に評判が広がり、「スーパータスカン」という愛称で呼ばれるようになりました。やがて世界的な評価を獲得し、今ではイタリアワインを代表する高級ワインの一つとして、世界中の人々を魅了し続けています。革新的な生産者たちの挑戦が、伝統に新たな息吹を吹き込み、ワインの歴史に輝かしい足跡を残したと言えるでしょう。
