ブドウ畑 クロ・ド・ラ・ロッシュ:偉大な畑の物語
銘醸地として名高い仏蘭西のブルゴーニュ地方、コート・ド・ニュイ地区の中心に位置するモレ・サン・ドニ村。この小さな村には、特級畑と呼ばれる格付けの中でも最上の畑が五つあります。その中で最も北に位置し、また最も広い面積を誇るのがクロ・ド・ラ・ロッシュです。クロ・ド・ラ・ロッシュ、その名は「石の囲い」を意味します。畑に足を踏み入れると、地表にいくつもの大きな石灰岩の塊が露出しているのが目に飛び込んできます。まるで、巨人が積み上げた石垣の残骸のようにも見えるその岩々は、この地の名前の由来ともなっています。古来より、この地で葡萄を栽培してきた人々は、この石灰岩を「ロッシュ」と呼び、畑を囲むように存在するその様を「クロ」と表現したのです。この独特の地形と土壌こそが、クロ・ド・ラ・ロッシュの葡萄酒に特別な個性を与えていると考えられています。石灰岩質の土壌は、水はけが良く、葡萄の根が地中深くまで伸びるのを促します。そして、地表に露出した石灰岩は、日中の太陽熱を吸収し、夜間にゆっくりと放熱することで、葡萄の成熟を助けます。さらに、北向きの斜面は、強い日差しから葡萄を守り、ゆっくりと成熟させるのに役立っています。これらの要素が複雑に絡み合い、クロ・ド・ラ・ロッシュの葡萄酒は、力強さと繊細さ、複雑さと調和が見事に融合した、他に類を見ない味わいを織りなすのです。まさに、「石の囲い」が生み出す奇跡と言えるでしょう。
