ブドウの品種 忘れられたブドウ?ワイン品種バッフスの魅力
ぶどう酒の仲間である「バッフス」は、その起こりから今日に至るまで、幾多の困難を乗り越えてきました。時は二十世紀の三十年代、ぶどうを育てる研究が盛んに行われていたドイツの地で、バッフスは誕生しました。既に名声を博していた「ジルヴァーナ」と「リースリング」という二種類のぶどうをかけ合わせたものに、さらに「ミュラー・トゥルガウ」という種類を加えるという、複雑な交配によって生まれたのです。これは、当時のドイツにおいて、より品質の高いぶどう酒を生み出そうという、強い思いの表れと言えるでしょう。当時のドイツでは、寒さや病気に強い、質の高いぶどうを求める声が強くありました。ジルヴァーナは繊細な香りと豊かな酸味が特徴で、リースリングは華やかな香りとしっかりとした酸味が持ち味です。ミュラー・トゥルガウは、早熟で収量が多く、育てやすい品種として知られていました。これらの長所を組み合わせ、新たな品種を作り出す試みが、幾度となく繰り返されました。そして、数々の試行錯誤の末に、ついにバッフスが誕生したのです。その名は、ローマ神話に登場する、ぶどう酒の神の名にちなんで名付けられました。これは、この新しいぶどうに、人々がどれほどの期待を寄せていたかを物語っています。バッフスは、こうして生まれた当初こそ脚光を浴びましたが、その後、様々な苦難を経験することになります。しかし、生産者たちのたゆまぬ努力によって、現在では、世界中で愛されるぶどう酒の一つに数えられるまでになりました。その波乱万丈の物語は、まさにぶどう栽培の歴史そのものを映し出していると言えるでしょう。
