ブドウの品種 ミュラー・トゥルガウ:芳醇な香りの白ワイン
ミュラー・トゥルガウという名の葡萄から生まれるワインは、その名の通り、スイスのトゥルガウ州にゆかりのあるヘルマン・ミュラー教授によってこの世に生み出されました。20世紀の初頭、ドイツのガイゼンハイム研究所において、高貴な品種として名高いリースリングと、今ではほとんど見かけることのないマドレーヌ・ロイヤルという品種を掛け合わせることで誕生したのです。ミュラー教授はリースリングの気品漂う香りと味わいを持ちながらも、より育てやすい品種を作り出そうとしていたと言われています。当時、リースリングは栽培に手間がかかるため、より安定して収穫できる品種が求められていました。ミュラー教授の研究は、こうした時代の要請に応えるものだったと言えるでしょう。こうして生まれたミュラー・トゥルガウは、リースリング譲りの華やかな香りと、マドレーヌ・ロイヤルの柔らかな口当たりを併せ持つ、魅力的な品種となりました。当初の目的通り、栽培のしやすさも兼ね備えていたため、ミュラー・トゥルガウは瞬く間に評判となり、ドイツやオーストリアを中心に広く栽培されるようになりました。特にドイツでは、白葡萄品種の中でも栽培面積で上位を占めるほどに普及しています。やがてその人気は海を越え、世界各地に広まりました。冷涼な気候を好むミュラー・トゥルガウにとって、日本の風土も適している地域が多く存在します。北海道や長野県といった地域では、質の高いミュラー・トゥルガウが栽培されており、国産ワインの原料としても高い評価を受けています。爽やかな酸味とフルーティーな香りが特徴で、和食との相性も抜群です。近年では、日本のワイナリーでもミュラー・トゥルガウを使った様々なワインが造られており、その個性豊かな味わいは、多くのワイン愛好家を魅了し続けています。
