ブドウの栽培 エンフォルカード:消えゆくブドウ畑の風景
ポルトガルの北部に位置するミーニョ地方は、爽やかな微発泡酒で知られるヴィーニョ・ヴェルデのふるさとです。この地では、かつて、空高く伸びるブドウの樹が独特の景色を作り上げていました。まるで空に届かんばかりに、ブドウの樹が絡み合うその仕立て方は、「エンフォルカード」と呼ばれています。この名前は、ポルトガル語で「絞首刑」という意味を持ちます。一見恐ろしい印象を受けますが、高い木の枝にブドウの蔓が絡まる様子が、まるで人が首を吊っているように見えることから、この名が付けられました。青々と茂る葉が空を覆い尽くし、まるで緑のカーテンのようです。この美しい眺めは、訪れる人々の心を掴んで離しません。エンフォルカードという仕立て方は、限られた土地でより多くのブドウを収穫するために、先人たちが生み出した知恵の結晶です。昔から人々は、高い木に登ったり、はしごを使ったり、時には命綱に身を預けながら、大切に育てたブドウを収穫してきました。収穫の様子を想像してみてください。空高く広がる緑の葉の間を、人々が行き交います。その姿は、まさに人と自然の調和を表すものであり、この土地の文化と歴史を雄弁に物語っています。現在では、機械化が進み、管理のしやすい棚仕立てが主流となっています。しかし、かつてのエンフォルカードの風景は、ヴィーニョ・ヴェルデの歴史を語る上で欠かせないものです。今では、一部の地域で伝統的な製法を伝えるために、エンフォルカードによるブドウ栽培が続けられています。先人たちの知恵と努力が込められたその風景は、今もなお、人々の心に深い感銘を与え続けています。まるで絵画のように美しいブドウ畑は、この土地の宝と言えるでしょう。
